高校数学でわかるフーリエ変換―フーリエ級数からラプラス変換まで (ブルーバックス)

高校数学でわかるフーリエ変換―フーリエ級数からラプラス変換まで (ブルーバックス)

フーリエ変換の学習について - book-loverの日記
すでに、この分野に関するエントリーは一本書いています。
同じ分野を、半導体の研究者が執筆しています。
もともと企業での研究開発をされていた方なので、より「フーリエ変換を使い倒す」という
側面が、執筆のはしばしで、重視されていると思います。
逆に、「実用」「どんな場面で用いられるのか」ということに筆が走ったとき、
そこで、フーリエ変換の計算が、どうやって実行されているか、またはその計算が
どうして大事になってくるのかの、丁寧な「数学的」な詰めがなおざりにされているように
思います。
このエントリーにもリンクをはっております「今日から使える物理数学」で「微分方程式」の単元を
チェックすると、典型的な関数の微分計算 積分計算をした結果が表になっています。

「今日から使える物理数学」 効用について - book-loverの日記
こちらでも、フーリエ変換に関することが記述されています。
フーリエ級数」→「フーリエ変換
これが、教科書の一般的な流れになっているようです。
この計算方法の「数学的な基礎付け」を丁寧にしてから、では道具としての「変換」の計算方法を
マスターしましょうという「数学→物理」の流れかな。
「今日から使える〜」は、「物理→数学」という流れ。
まず、「変換」の計算手法をマスターしてから、「変換」の基礎になっている「級数」を学習する。
こちらのほうが、「具体的な計算の練習」からより「抽象的な議論」へという流れになっているので、
私には、好ましいものに思えました。
また、この本で、「フーリエ変換」の計算は、「ワイン」を「産地別のぶどう」にえりわけるという
比喩が出てくるわけですが、この「比喩」が、この竹内先生のテキストを直観的に理解していく上でも
助けになりました。
やはり、「級数」から入る説明はやめたほうがいいのかもわかりません。

「高校数学」と銘うっています。
偏微分方程式」が登場していました。
ここ↓

 フーリエ変換の応用
 熱伝導の問題

 変数変換を使った微分積分計算のところは若干数式展開を追うのが
詰まったかもわかりません。
この「難所」は、「今日から使える複素関数」で、解決されておりました。
θからxへの変換のときとか。
ある文字から、別の文字へ置き換えるとき、「等式」でつながります。
そこで、両辺を微分計算します。
微分計算した結果を、本体の積分計算に代入するという流れになります。
ここを、わかっていないと、いきなり数式に登場する文字がかわったようになり、
よく混乱するかもしれません。

すべては波の重ね合わせ フーリエ級数

不思議な威力を発揮するディラックデルタ関数

この節のデルタ関数の取り扱いは、「今日から使えるフーリエ変換」より深いかもしれない。

知っておくと便利な基礎事項

フーリエ変換へ肉薄!

ラプラス変換のエッセンス

なんとか、ついていっているような、そうでないような・・。

現代を支えるAMとFMの話

ここまで、いくのか。「放送」の技術的理解だね。


筆者 プロフィール
people.

1985年に阪大基礎工学研究科(吉森・張研:博士前期課程)を修了後、同年 富士通研究所に入社.
その後、電子技術総合研究所での滞在、博士号取得(理学,1992年)、
マックスプランク固体研究所(独, stuttgart) 客員研究員、
フェムト秒テクノロジー研究機構研究員などを経て、1997年3月に富士通研究所を退職。
1997年4月より早稲田大学 理工学部 助教授.
2002年4月より同 教授.

目次

第1章 フーリエ級数
第2章 複素形式への拡張
第3章 フーリエ変換への拡張
第4章 代表的な関数のフーリエ変換

 指数関数のフーリエ変換
 ガウシアンの半値全幅
 ガウシアンのフーリエ変換
 ガウシアンのフーリエ変換の応用例
 光パルスの時間軸とスペクトル幅の関係
 ハイゼンベルクの不確定性関係
 光ファイバーの帯域
 ガウス
 デルタ関数
 デルタ関数フーリエ変換
 サインとコサインのフーリエ変換 
 代表的なフーリエ変換

第5章 フーリエ変換の性質

 一部 抜粋

 フーリエ変換の応用
 熱伝導の問題

第6章 ラプラス変換
第7章 ラプラス変換を用いた演算子

 部分分数展開
 部分分数展開を簡単に行う方法(1)
 部分分数展開を簡単に行う方法(2)

付録 三角関数の公式
部分積分
指数関数と、サイン・コサインのテイラー展開
タンジェントについて
ガウスの積分公式の証明
等比級数の和

おわりに・・・
参考図書・資料
さくいん
公式集(便利!!)

参考文献

フーリェ展開 (1978年) (使える数学シリーズ〈6〉)

フーリェ展開 (1978年) (使える数学シリーズ〈6〉)


工学基礎 フーリエ解析とその応用 (新・工科系の数学)

工学基礎 フーリエ解析とその応用 (新・工科系の数学)


物理現象のフーリエ解析 (UP応用数学選書 4)

物理現象のフーリエ解析 (UP応用数学選書 4)


工学基礎 ラプラス変換とz変換 (新・工科系の数学)

工学基礎 ラプラス変換とz変換 (新・工科系の数学)


過渡現象 (大学課程)

過渡現象 (大学課程)

他にも文献があげられておりました。
がしかし、「数学のテキスト」ではなくて「読み物」的なものが多かったので、
この辺で今回は切り上げます。

数学「業界」もいろいろ。

未解決の予想や定理の証明をする。→「王道」の業務
有名な数学者を調べる→なんとなく「ジャーナリスト」っぽい。
学部生向けに、「教科書」を作る。→面倒だけど、「仕事上」必要だからやる。
使い方・計算のやり方が固まった計算モデルを他の分野に応用する。→数学「業界」からの逃亡

大学からお金をもらって数学をするためのルートもいろいろなんでしょう。
「王道」にこだわる必要もない。自分に「才能」があると思えばトライすればいい。
でも、他にルートがあるなら、別の道をとればいい。
「就職」が「目的」であって、「業績」は「手段」
ここのところを取り違える人間が、どうもいろいろいたようだ。
下記、ガロアという数学者にもそういう部分をはしばしにみることができる。


wikipedia:エヴァリスト・ガロア

数学者ふるさと探訪:エヴァリスト・ガロア Evariste Galois, 1811-1832
物理のかぎしっぽ

研究内容;

『物理のかぎしっぽ』
代数学」のページで、ガロアがつくりだした群論について詳細に扱っています。
おそらく、ウェブサイトのなかではわかりやすさと詳しさがいちばんなのではないでしょうか。

『代数方程式とガロア理論』 中島 匠一
タイトルどおり、ガロア理論についての専門書です。
とても楽しく、とっつきやすい文体が魅力。「標語:群を見たらガロア群と思え」や「どんな分離拡大もガロア理論でとららえられる、これをガロア原理主義と呼ぶ」「以上、四つの性質すべてを兼ね備えた存在がガロア拡大だ、という悟りの境地に達する」など個性的な表現が満載の、笑える数学専門書というまれな存在。
だがもちろん、内容はけっして初歩的ではないので心してかかりましょう。
同著者による『代数と群論の基礎』もおすすめ、中島節大炸裂の良書です。
「いかにも群だという群、とはなんなのか悩んで旅に出たりしないように」、だそうです。はい、そんな理由で家出したりはしません。

『なぜこの方程式は解けないか? 天才数学者が見出した「シンメトリー」の秘密』 マリオ・リヴィオ
専門書はつらいや、という方はこちらをどうぞ。
群論について豊富な例をあげ、比喩的かつ視覚的に説明してくれます。