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いや、とても、よわよわしいテキストだとはわかっていますけど。
せっかく読みましたので、エントリーに使います。
- 作者: 飽本一裕
- 出版社/メーカー: 講談社
- 発売日: 2008/11/28
- メディア: 単行本
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飽本一裕(あきもとかずひろ)
1954年山口県生まれ。広島大学理学部物性学科(現・物理科学科)卒、カリフォルニア州立大学大学院物理・天文学科修士課程を経て、メリーランド大学大学院物理・天文学科博士課程修了。Ph.D。ロスアラモス国立研究所を経て、現在、帝京大学大学院理工学研究科教授。専門は広い意味でのプラズマ理工学、環境科学など。自身、高校までは学校の勉強が嫌いだったので、勉強嫌いの学生たちに学問の面白さを伝えることをライフテーマとしている。『今日から使える微分方程式』(講談社サイエンティフィク)、『今日から使える熱力学』(講談社サイエンティフィク)、『クイズで学ぶ大学の物理』(講談社ブルーバックス)、『マグロウヒル大学演習 電磁気学』(共訳、オーム社)など著訳書多数。
この筆者のテキストは読みやすくて大好きです。
今日から使える微分方程式 - book-loverの日記
アナログ・シュミレーションについて
ところで、静電場と流体が等しくラプラス方程式を満たすことについてはすでにお話しました。熱伝導や重力場も同様です。式が同じなら解も同じになりますから、流体の性質を調べる代わりに、式が同じ静電場を利用することも可能です。さらに、熱伝導や重力場の性質まで静電場を介して、調べられます。逆に、静電場の性質を重力や熱や流体で調べることも可能です。。実際の流体を実験するには風洞などの大規模で効果な設備が必要ですが、静電場の測定には小規模な装置で事足りますから、便利なのです。重力場の測定が困難な場合には、ラプラス方程式を満たすほかのもと便利な現象を利用すればよいわけです。この手法をアナログ・シュミレーションと呼びます。微分方程式が理論的に解けないときは、コンピュータで数値的にときます。(デジタル。シミュレーション)。しかし、コンピュータが現代ほど発達していなかったころは、微分方程式に対応する電気・電子回路を流れる電流やそれが作る電圧で微分方程式の数値解を得ていました。これもアナログ・シミュレーションの一種で、アナログ・コンピュータと呼ばれます。
このたったひとつのくだりを発見するためにこの本を読んだような気がします。
「コンピュータで数値的に解く」というアプローチについて機会があったらしっかり勉強したいです。
どうも、お受験算数でいう「難問」といわれるものの背景にこの考え方があるように思えてなりません。
コンピュータの代わりに、子供の計算能力が「アナログ・コンピュータ」やるみたいな。
目次
第1章 虚数・揺籃の時:神の精神の隠れ家虚数の黎明 あるアイの物語
虚数の光臨と2次方程式
人類の至宝の発見 オイラーの指揮
虚数の「見える化」とガウスの夢
電気回路への応用 フェーザ
数学街の喫茶店 数学王と呼ばれた男未来への旅程
複素関数入門
数学街の喫茶店 数学の聖地 ゲッティンゲン大学誰もが考えそうなこと
なんとも便利な複素ポテンシャル
等ポテンシャル線と流線台風コーシー襲来
複素積分
積分経路あれこれ、あちこち
周回積分は特異点センサー単純にして深遠・振り子の運動
(ー1)は無限大に等しい?
さらに無限のかなたへ:テイラー対マクローリン
複素数へ一般化しよう
正則でない関数を展開しよう数学街の喫茶店 ローラン級数の生みの親
第6章 円熟の境地:留数定理で積分パワーを大幅アップ
特異点の分類
コーシーの夢:留数と留数定理数学街の喫茶店 世界的なエリート学校
留数定理のさらなる応用
第7章 超人伝説:困った時の等角写像
数学街の喫茶店 無数の功績を残した大数学者
なんとも便利な複素ポテンシャル再訪
分厚い壁も等角写像ですり抜けられる
飛躍の前に等角写像を再訪
流体への応用
熱伝導への応用第8章 伝家の宝刀:コーシーの主値積分
剣聖 コーシーのさらなる境地
数学街の喫茶店 ガウスとコーシーの大失敗
クラマース・クローニッヒの関係式
第9章 超越旅行:解析接続とリーマン面
解析接続の簡単例
本格的な解析接続へ べき級数の解析接続
領土拡大策にもいろいろあるよ数学街 ワイエルシュトラウスの酒と喧嘩の日々
解析接続の応用
プラズマ波動の謎とランダウ減衰
だから複素関数は面白い リーマン面第10章 百花繚乱:複素世界の華・特殊関数たち
新しい関数を学ぼう
スター登場 ガンマ関数
スーパースターの降臨 ゼータの関数
楕円積分と楕円関数数学街の喫茶店 複素関数論と日本人
三高時代、岡は友人に対し「僕は論理も計算もない数学をやってみたい」と語っている。岡の考えでは論理や計算は数学の本体ではなく、表面的なことを追うだけでは答えが見えてこないと思っていたらしい。この見えざる数学の本体に迫ることと、仏教的叡智や情緒の探求は岡にとって表裏一体であったと考えられる。
複素関数の参考文献
相川 弘明 ほか「理工系 複素解析」 昭晃堂
- 作者: 相川弘明,音田功,斎藤三郎,谷口彰男,尾和重義,小林しょう治,高柳幸貞
- 出版社/メーカー: 昭晃堂
- 発売日: 1991/01
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石井彰三慣習 安岡幸一ほか著者「理工系のたの解く!複素解析」 講談社
- 作者: 安岡康一,植之原裕行,宮本智之,石井彰三
- 出版社/メーカー: 講談社
- 発売日: 2005/04/02
- メディア: 単行本(ソフトカバー)
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小野寺 義孝「なっとくする複素関数」
- 作者: 小野寺嘉孝
- 出版社/メーカー: 講談社
- 発売日: 2000/04/20
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神保みちお「複素関数入門」
- 作者: 神保道夫
- 出版社/メーカー: 岩波書店
- 発売日: 2003/12/12
- メディア: 単行本
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たかおひろやす「複素数の話」
高木貞治「近世数学史談
- 作者: 高木貞治
- 出版社/メーカー: 岩波書店
- 発売日: 1995/08/18
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」
戸田数森「楕円関数入門」
- 作者: 戸田盛和
- 出版社/メーカー: 日本評論社
- 発売日: 2001/09
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次男場真「複素関数 三幕劇」
- 作者: 難波誠
- 出版社/メーカー: 朝倉書店
- 発売日: 1990/06
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馬場孝之 高杉 豊「すばらしく実力がつくと評判の複素関数キャンパスゼミ」
スバラシク実力がつくと評判の複素関数キャンパス・ゼミ―大学の数学がこんなに分かる!単位なんて楽に取れる!
- 作者: 馬場敬之,高杉豊
- 出版社/メーカー: マセマ出版社
- 発売日: 2006/07
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アルフケン 基礎物理数学
- 作者: ジョージ.ブラウン・アルフケン,ハンス.J・ウェーバー,権平健一郎,神原武志,小山直人
- 出版社/メーカー: 講談社
- 発売日: 2001/10/30
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数学をつくった人々 早川文庫
数学をつくった人びと〈1〉 (ハヤカワ文庫NF―数理を愉しむシリーズ)
- 作者: E.T.ベル,Eric Temple Bell,田中勇,銀林浩
- 出版社/メーカー: 早川書房
- 発売日: 2003/09
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複素変数 工学基礎演習シリーズ
ジャクソン 電磁気学
- 作者: J.D.ジャクソン,西田稔
- 出版社/メーカー: 吉岡書店
- 発売日: 2002/07
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大学演習 複素解析
- 作者: スピーゲル,石原宗一
- 出版社/メーカー: マグロウヒル出版
- 発売日: 1984/04
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オヤオヤ文庫 量子力学の歴史
量子力学の歴史 (オヤオヤ文庫)
追記
中学受験関連
金融日記:中学受験こそ日本のエリート教育の本流、東大なんてクソ
アメリカで15歳で大学を卒業したとかいう天才児の話題がたまにテレビなどで報じられるが、日本の中学受験の最前線の実態を知る者から見れば、そのような子供なら日本にいくらでもいることがわかるだろう。
日本では飛び級が認められていないだけなのである。
たとえばSAPIXや日能研や四谷大塚の最上位クラスの子供たちに3ヶ月ぐらい大学受験の勉強を教えてやれば、ほとんどのが子供たちが早稲田や慶応の簡単な学部ぐらい何の苦労もなく合格するだろう。
3ヶ月で十分だ。
現代文や日本史のように大学受験とあまり変わらない科目なら、そのままセンター試験を受けても偏差値60ぐらいはいくだろう。
このクラスの子供たちになると方程式などはすらすら解けるので、数学も一ヶ月も準備期間があれば十分だ。
このテーマに関連して思い出した映画がありました。
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- 発売日: 2009/07/03
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懐かしい。
では、そんな「天才少年」が、はたしてどういう人生を歩くのかという物語。
年明けの数学ネタ 「職探しをする上でのスキルとして」 - book-loverの日記
どうやら東京大学の理系は、1問25分で解答することが求められているようです。
これが、フェルマーの予想という問題に対する数学者の取り組みになると。
解答時間 →無制限
筆記用具だけ→本を読んでもいいし、世界の誰にでも質問してもいいし、どんな場所で解答してもいい。(フェルマー予想に勝利したワイルズさんは自宅でがんばったそうです。)
解答者→ 別に1人で満点解答を完成させなくてもいい。というよりできない。入試数学だったら、「部分点」にあたる解答を書くことができるだけでも立派。
本書で登場する「部分解答者」のみなさんは、豪華そのもの。
最終確認していないが。
問題作成者→ フェルマー
最初の部分点らしいもの →オイラー
その後に、無数の部分点が、幾多の数学者に積み上げられて。
東京大学で数学を研究している人が、フェルマーの予想とは無関係に、「谷山・志村」の予想という「〜かもしれない」という仮説のようなものを出す。→場外乱闘だと思うけど、かなり大きい部分点
この「予想」が正しかったら、フェルマーの予想が、単なる予想ではなくて、「定理」として「証明可能」だということを、ワイルズ以外の数学者が「証明」する。
(ここでも、あと一歩というところまで結論までのステップがみえかかったけど、最期のワンステップは、友人の数学者に、「こうすればQED」という示唆はもらっていた。→ステップが飛んで、答え・結論だけ書く答案
ここまでで、部分点が、かなり積み重なっている状態になる。
そして、ここまでに、「答案」が仕上がるのに、300年くらいの時間がかかったところが、入試数学と違うところ。
しかも、この「答案」に果たして、「満点」がありえるのかどうかは、世界の誰にもわからないという状態が続く。
あとは、「谷山・志村予想」が、予想ではなくて、「定理」として「証明」できるということを、
「答案」にして、満点をもらえれば、そのまま、「フェルマー予想の答案の満点答案の作成につながる。
ここまできて、「谷山・志村予想」の扱っている単元についてプリンストン・オックスフォードで研究していたワイルズさんは、
「よっしゃ、おれがやったる」
と、8年間かけて、「満点答案完成」目指して、「受験」する。
とは、いっても、ワイルズさんだって、別に、本当に1人で、自分の頭の中で浮かび上がる知識だけで戦うのではなくて、
他の国の人が、編み出した計算方法のテキストで、計算方法をマスターしたり、
遠い昔にフランスで死んだ数学者の発想を応用したり、
日本人数学者の理論を勉強して、自分の証明問題に応用できないか、試行錯誤するという「作業」をする。
証明の詰めの詰めの段階になると、さらに友達を呼んできて、自分の証明に用いる計算があっているかどうかは、やはり大学での講義という形式を活用してチェックする。
ここまでのステップを踏んで、ようやくワイルズさんは、その研究結果を世界に向けて発表。
「採点官」は、世界の数学者。
満点解答になっているかどうか、チェックする。
どうやら、一箇所、論証に問題がある。
それを訂正するのに、また1年以上。
もう一回、採点してもらって、ついに満点。
答案完成。
大学で数学する人間が求められている「知性」と、大学受験をするときに、高校3年生に求められている「知性」
には、かなり違いがあるということは、念頭においておいたいいと思う。
大学受験の「知性」を持ち合わせる人は、人によっては、ワイルズ的な「知性」には向かない人もいる。
そういう人は、「ビジネス」の世界で活躍できると、個人的には思っている。
彼ら教授にもっと実際に社会に役に立つ研究をして経済に貢献しろというと「そういうすぐに役立つことを研究するのが大学の仕事じゃない」と反論する。
それじゃ社会に役に立つ人材をもっと育ててくれというと「そんなすぐに役立つ知識は、すぐに陳腐化してしまう」と反論する。
もうわかったからちゃんと研究して論文をたくんさ書いてくれというと「簡単に論文を書けるようなテーマでは、ノーベル賞級の大きな研究はできない」という。
結局、税金を食い物にしながら、何も社会に貢献しない教授ばかりいるのが日本の大学なのである。
私は大学関係者でも何でもないけど、ここまでいってしまっていいのだろうかという気はする。
最近、大学に籍をもつ数学者のプロフィールを洗っていますけど、やっぱり優秀な人は業績あげているから。
いやまあ、どうもこの人、大学に在籍している時間も長かったみたいだし。
測定可能な研究というものがモロイというのは、確かにその通りだと思う。
会社の格付けというシステムを考えてみたらいい。
どうして、会社の格付けというものが可能かといったら、過去にいろいろ会社が無数にあったから、
その会社のデータが蓄積されて、
「こういう会社はランクを高くしていい」
「こういう会社はランクを低くしていい」
というように、会社のランクを上げるファクター、下げるファクターというものが、経験的に
固まってくるから、そのファクターを数値にして、「格付け」「評価」ができる。
「独創的な研究」というものは、「他に比較するものが見つからない」から独創的なのであって、
あっさり、「測定可能」なら、それは、「ほかに、類似例がいくらでもあった」ということの
帰結でしかない。
大学にいる頭脳をどうやって「飼う」のかというのは、むずかしい問題だと思う。
現役大学人の中学受験へのコメントについては以下のエントリーに注目
中学受験を終えて思うこと - hiroyukikojimaの日記
その第1点は、ぼくが以前に勤務していた塾は中高一貫校の生徒を対象とした塾だったので、ぼくが中学数学主任として教えたのも一貫校の中学生だったが、自分が一貫校の卒業ではないので、知らないことがたくさんあった。今、息子の受験を体験して、当時気づいてなかった多くのことを知った。当時知っていれば、ぼくは主任としてもっと別の企画とカリキュラムを持つことができたに違いない、と今頃になって後悔している。
一番の感慨は、「こんなに親にとって辛いものだと思わなかった」ということだ。子供がいいかげんに受験に臨んでいるなら、いい。しかし、子供がけなげにがんばっている場合、受験での失敗は親の責任だ。学校選びも、勉強の手はずも、受験日程の構成もすべて親がする。失敗させるわけにはいかないが、入試を受けるのは子供なので、親にはどうにもできない。落ちたとき、どうケアするか。長い入試日程の中で、どう集中力を保たせるか、それはすべて親が考えなければいけないことだが、正直、子供の実力や内面は測り知ることができない。これはとても苦しかった。うちで一番おろおろしていたのは、父親のぼくだったと思う。年賀状で、昔教えた生徒の親に、そんな愚痴を書いたら、その人は激励のために特別なリンゴジュースを贈ってくださった。添え書きには、「中学入試は、もうずいぶん前のことになりますが、今でもあの辛さは覚えています」とあった。温かさが身にしみた。
ぼくは、(駿台予備校で浪人した以外)小学校から大学までずっと公立で過ごしたので、彼らの内実を理解していなかった。彼らには、多くののびしろがある。中学受験でそれは醸成されている。ぼくが観察してきた限り、一貫校に行ったあと少なからぬ子供はその素地を無駄にしてしまったように思えた。