−暖簾代(グッドウィル)=無形資産の概念は徐々にだがロシアに定着−
買収プレミアムの代わりに、暖簾代(グッドウィル)の概念は定着しつつあります。暖簾とは各企業が持つ「ブランド」、「ノウハウ」、「顧客との関係」、「従業員の能力」等を総称する無形資産のことです。企業の買収や合併の際に、買収された企業の純資産と買収価額(時価総額)との差額が暖簾代として計上されます。社会主義経済では、ブランドや顧客との関係といったものは企業の資産として解釈されず、ロシアではこの概念は新しいものですが、徐々に普及し始めています。現在の資本主義経済へ移行しても、無形資産の評価は難しく、暖簾代の定着は限定的です。ロシアにおける買収価額設定の99%は総資産から負債を控除した純資産価値に基づいて評価されています

無形資産の種類
1 金融機関との関係
2 企業の経営文化
3 商品の認知度
4 従業員の能力
5 顧客データベース
6 経営層の能力
7 社外関係
8 経営層への信頼
9 信頼できる供給業者
10 独占状態、市場における優位性
11 取引先
12 株主の影響
13 商品の卸売先
14 設備の法的書類
15 市場からの信頼
16 企業管理能力
17 企業の認知度
18 事業戦略
19 商品の高い評価
20 市場独占率
21 事業戦略の実行度
22 従業員に対する企業の魅力度
23 事業戦略の質
24 企業もしくは商品ランキングへの掲載頻度
25 企業の歴史
26 将来性
27 情報開示
28 企業経営のルール
29 顧客の商品購入の容易さ
30 財源(投資家)
31 悪徳の競合他社への統率(影響力)
32 有力評価期間およびアナリストによる良い評価

暖簾はポジティブおよびネガティブなものに分類できます。上記はポジティブの分類に入る無形資産で、暖簾代の対象となるものです。ネガティブなものは、逆暖簾とも呼ばれ、上記種類の低いもしくは悪い評価を受けている項目が対象となります。例えば、能力のない従業員の多さ起訴中もしくは過去における起訴経験および処分の状況公的機関とのコンフリクトマフィア組織との業務提携などが挙げられます。
ロシアにおける買収では、暖簾代はポジティブなものについては考慮されにくく、ネガティブなものについては通常反映され、その結果として企業ディスカウントにつながります。