体系的な知識・技術を身につけるための学習法について - delirious thoughts

学歴の本質的な内容について考えるよいエントリーがありました。
4年間という時間、学部の学習時間の設定は、あくまでも、大学というシステムの都合の上で設定されているだけです。
具体的な話ですが、薬学をやっていた京都大学の学生が、通常の講義にほとんど出席することなく、単位認定の試験の前だけ
一夜漬けで勉強して、単位をそろえてしまい、薬学の学士の資格ととるということがエントリーにあったこと
もあります。
つまり、学習者の意欲によって、理工系の学生が学習することになっている教育カリキュラムをすべて履修するために
必要な時間は、いくらでも圧縮することが可能なのではないかということです。
そのことについて、より、詳細に立ち入って、興味深い議論が行われています。

和田秀樹先生の、受験勉強技術の研究と、微妙に連動するところがあると思います。
この先生の受験勉強方法についての書籍は、
「高校や、中学校の先生は、生徒の受験勉強について、何も心配していない。細かい手をうってくれることもない」
という学校が、たくさんあることを前提に、
「防衛的」に、生徒が、「独学」で、大学入試を突破するためのノウハウを体系化しているという側面があります。
そのマニュアルは、受講生から東京大学の医学部の合格者を輩出していることからも、かなりの実績にも
裏打ちされている強力なものです。

この大学受験を想定した、「独学」のスキル、「独学」の方法論というのは、
実は、理工系の大学のカリキュラムにもかなり、当てはまるのではないかと思います。

新・受験技法―東大合格の極意〈2009年度版〉

新・受験技法―東大合格の極意〈2009年度版〉


新・受験技法 医学部合格の極意

新・受験技法 医学部合格の極意

大学の運営者から言えば、こういう「独学」のスキルでは、カバーできない教育内容をどうやって学生に提供できるかが、
サバイバルのための秘訣になると思われます。

私の経験に照らしていっても、
和田先生メソッドを、基本的なレベルで応用できるだけで、学習環境が劇的に改善される生徒さんはたくさんいます。
生徒さんの学習態度に問題があるというより、
それだけ劣悪な学習環境を、保護者や塾の経営者が人為的に作っているという側面もあります。

今回の傑出したエントリーは、主にコンピューターサイエンスの知識について論じたものです。
Androidや、iphoneで、遊ぶことが可能なゲーム・ソフトウェアを開発できるスキルがあれば、
このプラットフォームでの販売を狙って、一攫千金を狙うこともできるようになりました。
こうした「独学」の環境構築は、「チャンスの創生」という意味でもとても大切な意味があります。
この「チャンスの創生」「教育のチャンス」「大学入試を迂回した学習の機会」があるかどうかで、
全世界の携帯電話ユーザに、ITサービスを提供できる日がもう来ているのです。

Electrical Engineering and Computer Science | MIT OpenCourseWare | Free Online Course Materials

Electrical Engineering and Computer Science


Graduates of MIT's electrical engineering and computer science department work in diverse industries and conduct research in a broad range of areas.

They improve the stability and security of computers and communications networks, and they increase the efficiency of solar panels. They create unique algorithms to analyze financial markets and design robots capable of thinking like human beings. Our community members continually make breakthroughs that enable people to communicate more easily, manage their environments more effectively, and lead more comfortable lives than ever before.

MIT has awarded electrical engineering degrees for nearly 130 years, and our educational programs have been at the cutting edge since their inception. We provide an in-depth education in engineering principles built on mathematics, computation, and the physical and life sciences, and encourage our students to apply what they learn through projects, internships, and research. We succeed in our mission to produce graduates capable of taking leadership positions in the fields of electrical engineering and computer science and beyond.

More than 30 percent of MIT's undergraduates are enrolled in the Department of Electrical Engineering and Computer Science, and our graduate programs are world-renowned. Our faculty comprises more than 40 members of the National Academy of Engineering, more than 10 members of the National Academy of Sciences, several National Medal of Technology winners, as well as many fellows of professional societies, such as the IEEE, ACM, APS, AAAI and others.

学習したいと考えている、なにかそれなりに大きな規模の分野について、自分で本を書くつもりで、あるいは、こういう本があったら体系的な知識を得られるだろうなあという本の目次を自分なりに書き出していって、あとはその内容を埋めるつもりで学習を行っていけば、自ずと体系的な学習になってしまうのではないかという方法です。それがうまくいくかどうかはわかりません。しかし、まあやってみる価値はあるんじゃないかという気もしています。

私はコンピュータのことを"体系的"に学んだことはないのですが、化学については体系的に教育を受けたことがあります。
ふりかえってみると、基礎知識を得たのは学部の二回生、三回生の授業(ないし教科書)からであったと思います。
(化学に関して言えば、四回生からは「午後から実験」という日が週の半分ほどになり、頭よりも手指で覚えることのほうが多くなり、その意味でも「知識」の学習は二、三回生が主だったと思います。
また、四回生で研究室に配属されてから院を出るまでは、より専門化した知識をある程度体系的に学ぶと同時に、なんらかの新しい知見なり成果物を生み出すための「方法論」を学ぶほうが多くなるため、やはり体系的に整備された基礎知識の習得は大学の二回生、三回生の頃であったように思われます。

化学(またもCSのことでなくてご免なさい)について言えば、近代の約200年ほどに集成された知識が、メジャーな厚めの教科書10冊ぐらいで学べます。

どこの分野にも「これがメジャー。知らないとモグリ」といった感じの古典的教科書があると思いますので、そこから攻めていくのはどうでしょうか?