なぜGMは転落したのか―アメリカ年金制度の罠

なぜGMは転落したのか―アメリカ年金制度の罠

GMという巨大企業が、どうして衰退するようになったのかという
ことが、WSの辣腕記者が、フットワークと、アカデミズムを駆使して、
活写されている力作。

自動車を製造して、販売するという事業を行う場合。
どうしても、多くの従業員を抱え込んでいかないといけない。

いい自動車をせっせとつくってもらうためには、
自動車会社は、従業員にどんなインセンティブを与えたらいいのか
ということが問題になる。

企業の立場からすると、従業員も、自動車の部品と同じように扱い、
常に、若い、新鮮な労働力が供給され続けてくれればいい。

従業員の立場からすると、現役の時に、しっかりと身を粉にして
働いた以上、高齢化が進んで、もう働いてお金を稼ぐことが
出来なくなったとき、誰かに、自分たちのことを面倒を
見て欲しいということになる。

企業に投資して、利ざやをはねたい投資家の立場からすると、
株式や社債に投資したお金に対して、少しでも
大きいリターンを得たい。
ということは、企業が、従業員の福利厚生を充実させようとすれば
するほど、それが、配当の減少という受け入れがたい結果を
招来することになる。

企業(経営陣)
従業員(労働組合
投資ファンド(株式投資家)

この三者の均衡する利害関係をどうやって調整するのかという
問題に、状況の変化に応じて、
政府が決断を下していく。

この調整の問題は、最終的には、
労働者、従業員の、老齢リスク・疾病リスクを誰が
負担するのかということになる。

その際の、問題整理の始点として。

年金基金にお金を出し続けるのは、政府なのか、企業なのか?
事業体は、私企業なのか、公企業なのか?
政府のアカウントと、年金基金のアカウントの分離をどこまで厳密に行うのか?

という観点が導入されている。

GM 労働組合 連邦政府

鉄道組合 教職員組合 警察 消防活動の人

鉄道公社 市政府

年金基金の運営体。

様々なアクターが登場します。

頭がこんがらがってきますので。

登場人物がなにものなのか。
しっかり整理しましょう。