わかりやすく説明するためには、
「数式を使わないようにしないといけない」
という、どうやら、一般啓蒙向けの本を書くときの、
物理学者を縛るドグマがばかげているということを、
端的に示した良書だと思う。

数式を使うのが問題なのではなく、
数式を変形させたりする過程を、飛ばして書くのが
問題なのだということが、筆者の丁寧な計算式を
観ていると思う。

富士通にて、研究所勤務をしているので、
サラリーマン気質がまだ、どこかに残っているのでしょう。
「物理は、製品開発に役に立ってナンボ」
という、当たり前すぎる前提だが、しかし、ひょっとしたら
大学という空間では非常識なのかもしれないセンスを
もった人。

だから、本書も、徹頭徹尾、大学で、物理を学ぶ人間が
単位をとれるようにするという、きわめて実践的な意図に沿って、
記述されている。

おそらく、彼が、予備校の物理講師のポストについたら、
かなり稼げると思う。
この日記を書く私も、彼が、開講する「受験物理」のレクチャーを
聞きたい。
転職しないかな・・・。

それでは、みなさま。
よい、お年を・・・。